このページでは、腎芽腫(ウィルムス腫瘍)治療におけるトモセラピーのメリット・デメリットを紹介しています。
アメリカで開発されたトモセラピーは、日本の医療機関でがん治療に用いられています。CTと放射線治療装置が一体となっていて、従来使用していた放射線機器よりも身体に優しい治療ができます。
腎芽腫(ウィルムス腫瘍)や腎細胞がん、腎盂がん、尿管がん、膀胱がんなど幅広い疾患の治療に使用できます。
トモセラピーを使用すると、比較的大きな腫瘍をはじめ、複雑な形状をしたがん病巣も狙い撃ちできます。強度変調放射線治療(IMRT)は、1つの照射位置から標的の部位ごとに別々の量のX線を細かく打ちわけることができるので、正常組織への線量を絞り込み、がん病巣へ線量を集中照射することが可能です。
トモセラピー治療は、出血や痛み、熱さなどを伴わないので、治療による身体的・精神な負担が軽減します。全身の状態や検査値、主治医の判断によっても異なりますが、通院での治療が可能になることもあります。トモセラピー治療中は、仕事や趣味も続けられるケースが多いといわれています。
トモセラピーは副作用が起きにくいですが、全く起きないわけではないので注意が必要です。食欲低下や嘔気・嘔吐、下痢、呼吸困難(放射線性肺臓炎)、血尿(放射線性膀胱炎)などがみられるおそれがあります。血便(放射線性直腸炎)や骨髄抑制などが起きるリスクもあるため、注意しなければなりません。副作用の症状は個人差があるので、不明な点については担当医へ確認しておきましょう。
食欲低下や嘔気などの消化器症状は、あらわれやすい副作用ですが、程度には個人差があります。副作用があらわれたら、早めに担当医や看護師へ相談して、指示に従うようにしてください。
副作用対策として、食事の際には、自分にあった味付けや温度をみつけること。さっぱりしたもの、酸味があるもの、冷たいもの、味が濃いものなどが食べやすいことがあります。盛り付ける量が多いと、見ただけで食欲がなくなることもあるので、盛り付ける量をいつもよりも少なめにしたり、品数を多くしたりする工夫も効果的です。
トモセラピーを使用すると、がん病巣を集中的に照射しながら、正常な組織へ負担を軽減できます。今回ご紹介した以外にも、さまざまなメリットのある治療ができますが、すべての方に適しているわけではありません。
基本的に腎芽腫(ウィルムス腫瘍)の治療は、手術や放射線治療、薬物療法があります。治療方法は、病期と組織型によって異なり、主治医と相談しながら決めていきます。
メリット・デメリットをしっかり把握しておき、検査データも踏まえ、担当医とよく相談するようにしましょう。トモセラピーによる治療を希望している方は、導入している医療機関を受診し、治療法について医師に相談するようにしてください。
がんの方の生活の質を高めるための「緩和ケア」について紹介しているサイトです。主治医に「治療がない」と言われた方でも受けられる可能性がある治療についてもまとめています。