このページでは、子宮頸がん治療におけるトモセラピーのメリット・デメリットを紹介しています。
トモセラピーとは、IMRT(強度変調放射線治療)とIGRT(画像誘導放射線治療)を合わせた放射線治療装置のことを指します。内蔵されているコンピュータの技術を採用することによって、照射する病巣の位置を確認しながら装置が腫瘍の大きさや形を捉えてピンポイントで治療できるのが特徴的。
またトモセラピーは病巣にプラスして、骨盤のリンパ節など広い範囲に同時に照射できるのもメリットだと言えるでしょう。
がんの形は複雑であり、周囲の正常な組織を取り巻いているケースが多く見られます。従来の放射線治療では、がんだけでなく周囲の正常な組織も被爆してしまうことが多い状況でした。
しかしトモセラピーなら、従来のものでは困難だった複雑な線量分布が可能となり、正常な組織を守りながら病巣に高線量を集中させることが可能です。
トモセラピーは、病巣に狙いを定めて照射する治療法ですので、正常な組織へのダメージを抑えやすいのもメリットです。
また、トモセラピーは低侵襲で身体へかかる負担が少なくて済むため、痛みや出血などの症状を伴いません。通院で治療を行うことが多いので、仕事をしながら受けることも可能です。このようなことから、患者への負担を軽減しやすい治療と言えるでしょう。
なお通院回数ですが、がんの症状やレベルなどによって変動することが考えられますので、回数や通院頻度については事前に主治医に確認しておくとよいでしょう。
トモセラピーは副作用が現れにくいとされていますが、症状が全く見られないわけではありません。
副作用は照射する部位によって異なりますが、嘔気や食欲低下などの消化器症状を伴う可能性があるため注意が必要です。
治療中はなるべく栄養価に優れたものを摂取する必要があります。しかし、このような症状を伴うときに無理をすると余計に悪化する可能性があります。気分の良いときに、食べられそうなものを数回に分けて摂取したり、栄養補助食品を利用したりするとよいでしょう。
嘔気が強くて食事をほとんど摂取できない場合は、早めに主治医へ相談するようにしてください。
治療を行った後6ヶ月以後に生じる副作用は、卵巣機能低下に伴う更年期障害や不妊などの症状があります。放射線治療の後遺症として、治療から1~2年ほど経ってから直腸や膀胱の粘膜障害による血尿や血便などが生じる可能性があります。
副作用の現れ方には個人差があるため、気になることがある場合、あらかじめ主治医に確認しておくことが望ましいです。
トモセラピーは、正常な組織への被ばくを抑えやすい特徴があります。さまざまなメリットを得られる治療法ではありますが、全ての方に適しているとは言えません。ケースによっては、手術療法や薬物療法など別の治療が適しているケースもあります。
メリット・デメリットだけでなく、検査データなどを踏まえ治療法を決めていく必要があります。そして、がんのステージや年齢、治療後の妊娠希望などについて、担当医としっかり話し合い治療法を決めていくことが大切です。
トモセラピーに興味がある方は、導入している医療機関を受診して治療法について医師に相談するとよいでしょう。
がんの方の生活の質を高めるための「緩和ケア」について紹介しているサイトです。主治医に「治療がない」と言われた方でも受けられる可能性がある治療についてもまとめています。