がんの放射線治療において、「トモセラピー」や「ガンマナイフ」といった治療法を知り、どちらが自分に適しているのか、どのような違いがあるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、この2つは「全身のさまざまながんに対応できるトモセラピー」と「脳の病変に特化した専用装置のガンマナイフ」という、適応部位に明確な違いがあります。
当記事では、それぞれの装置の特徴や仕組みを分かりやすくまとめ、病状に応じた使い分けについて解説します。
ガンマナイフは、その名の通り「ガンマ線」という放射線を使用し、まるでナイフで病巣を切り取るかのように、メスを入れずに脳の病気を治療する専用装置です。
大きな特徴は、ヘルメットのような特殊なフレームで頭部をしっかり固定し、約200個もの小さなガンマ線をさまざまな方向から「1点」に集中させて照射する仕組みにあります。
1本1本の放射線は弱いため、通過する正常な脳組織や血管へのダメージはほとんどありませんが、線が交わる中心部分(病巣)には強力なエネルギーが発生し、がん細胞などを少しずつ凝固・壊死させます。
これにより、開頭手術が困難な「脳の深い場所」や「重要な神経のすぐそば」にある小さな腫瘍や転移に対しても、大切な機能を温存しながら治療することが可能です。大きな痛みや出血を伴わないため、患者さんの体への負担を軽減できる治療法です。
トモセラピーは、CT装置と放射線治療器が一体化したハイブリッド型の治療装置です。
ガンマナイフが脳に特化しているのに対し、トモセラピーは頭の先から足の先まで、全身のさまざまな部位のがん病巣に対して効果的な放射線治療(IMRT:強度変調放射線治療)を行えるのが大きな特徴です。
治療の直前に内蔵CTでがんの正確な位置と形を把握し、寝台をスライドさせながら装置が360度らせん状に回転して、細い放射線ビームをさまざまな角度から照射します。
システムが高度に自動化されているため、「いびつで複雑な形をした腫瘍」や「広い範囲に複数点在しているがん(多発転移など)」であっても、正常な組織への副作用を最小限に抑えながら、1回の治療でまとめて照射することが可能になります。
両者の大きな違いは、「治療の対象となる部位」と「得意とする病状」にあります。
例えば「脳への転移」が見つかった場合、腫瘍が小さければピンポイントで焼き切るガンマナイフが選ばれることが多く、腫瘍が大きかったり、脳以外(肺や骨など)にも同時に治療すべき病巣がある場合は、全身をカバーできるトモセラピーが選ばれる傾向にあります。
ガンマナイフは「脳の小さな病変に特化し、メスのように1点集中で治療する専用装置」であり、トモセラピーは「全身の複雑な形のがんや、複数のがんを広範囲に治療できる装置」です。どちらの治療法も、「正常な組織へのダメージを減らし、患者さんの体への負担(副作用)を最小限にする」という医療技術です。
ご自身やご家族の病状、がんの大きさや場所によって適した装置は異なりますので、それぞれの特徴を理解した上で、主治医としっかりと治療方針を話し合ってみてください。
以下のページでは、トモセラピーに関するより詳しい基礎知識をご紹介していますので、治療の選択肢を検討する際の参考にご覧ください。
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