がんの症状を緩和することを目的に行われる「緩和照射」について調べました。
放射線治療には、がんを治すために行う「根治照射」と、がんによる痛みなどの症状を和らげるために行う「緩和照射」の2つがあります。
根治照射は、がんの根治(完全な治癒)を目指す放射線治療を指し、保険診療の範囲では遠隔転移を起こしていないがんが対象です。前立腺がんや頭頚部がん、肺がん、子宮がん、食道がんなど、さまざまながんに対して根治照射が行なわれています。
治療の種類としては、リニアックによる高エネルギー放射線治療や、三次元原体照射、トモセラピーなどによる強度変調放射線治療、ガンマナイフなどによる定位放射線治療などが挙げられます。
中には、末期がんや多発性転移がんの根治照射に対応することが可能な放射線治療もあります。
治療をあきらめない。
東京エリアでトモセラピーを
提供している病院4選
近年では、抗がん剤治療を併用する根治照射も増えてきました。これを「化学放射線療法」といい、放射線と抗がん剤の相乗効果を狙っています。
局所的な治療効果の向上に加え、遠隔転移を予防する効果も期待できます。
緩和照射は痛みなどの症状改善を目的とした放射線治療で、根治照射のようにがんを治す効果はありません。
痛みのほかにも出血などの症状を抑える効果も期待でき、がんと上手く共存していくための治療手段ともいえるでしょう。
緩和照射はがんの消失を目的としていないので、照射する放射線の量も少なくなります。
治療期間も根治照射より短いため、根治照射では起こるような副作用も少なく、同じ部位に再照射できることも緩和照射のメリットです。
繰り返しになりますが、緩和照射は根治照射とは違い、厳密な意味では積極的な治療ではありません。
あくまでも痛みなどの症状を軽減させることが目的です。特に骨転移を起こしている場合などは強い痛みを伴うため、緩和照射は有効な手段だといえます。
緩和照射の大きな目的のひとつは、患者さんのQOL(生活の質)を高めることにあります。
がんは転移している場合などは、がんそのものの症状に加えて治療の副作用も強くなりがちで、治療期間も長くなります。そうした場合の緩和照射はさまざまな症状の軽減が期待でき、QOL向上に大きな意味を持ちます。
根治照射と緩和照射の違いを説明しましたが、実は根治照射でも治療と緩和を同時に目指せる高度放射線治療があります。それがトモセラピー治療です。全身にがんが転移している場合でも、自由診療のトモセラピー治療であれば検討の余地が十分にあります。
実際に多発性転移がんの方に放射線治療を行っているクリニックはこちら
がんの方の生活の質を高めるための「緩和ケア」について紹介しているサイトです。主治医に「治療がない」と言われた方でも受けられる可能性がある治療についてもまとめています。