このページでは、髄膜腫治療におけるトモセラピーのメリット・デメリットを紹介しています。
高精度放射線治療とは、定位放射線照射や強度変調放射線治療(IMRT)など、コンピュータ制御下において、病巣を狙い撃ちする治療法を言います。定位放射線照射は、ガンマナイフの導入によって始まったとされています。脳腫瘍では転移性脳腫瘍だけでなく、聴神経腫瘍や髄膜腫、下垂体腫瘍といった良性脳腫瘍も対象としています。
リニアックによる定位放射線照射では、マイクロマルチリーフコリメータを使うことにより、リーフと呼ばれるビームの絞りを腫瘍の形状に合わせます。そして、不整形のビームを照射でき、1つの照射部位にも均一な線量分布を得られるようになっています。
IMRTでは、複雑な形状の腫瘍に対して複雑な線量分布を詳しく決められるため、正常な部位への被曝を避けられるメリットが期待できます。IMRTでは全脳照射を行う場合、記憶の形成に重要な役割を果たしているとされる「海馬」という部位を避けて照射できます。従来のと放射線治療と比較して、腫瘍に高線量を照射しながら、健康な組織への線量を低減できるのは大きなメリットだといえるでしょう。
治療中から治療直後は、重篤な副作用がみられるケースはあまりありませんが、頭痛や悪心・嘔吐、めまい、全身倦怠感といった症状が見られることがあります。日焼けのような状態になる放射線皮膚炎も出るおそれがあります。また、外耳道炎や中耳炎なども見られる場合もあります。
治療後6か月以後で見られ後遺症は、照射した部位によって異なります。放射線治療が進歩していることにより、起こる可能性は数%以下といわれていますが、放射線脳壊死やホルモン分泌低下、視覚障害や聴力障害などの神経障害、水頭症が起きるおそれがあります。副作用や後遺症で心配なことがある場合は、主治医へ治療前にしっかりと確認しておいてください。
髄膜腫は、脳腫瘍の中でよく見られる疾患の1つです。一般的に、脳を覆っている「くも膜」の細胞から発生し、9割以上は良性腫瘍といわれています。髄膜腫の生じる部位によって異なりますが、副作用には腫瘍によって脳の圧が上昇して見られる頭痛や嘔吐、意識障害などの症状、腫瘍圧迫による局所的な症状があります。
トモセラピーは、病巣に狙いを定めて治療できるため、正常組織の被ばくを抑えやすいことが特徴です。さまざまなメリットや特徴のある治療法ですが、すべての方に適している治療法とはいい切れません。場合によっては、薬物療法や手術療法などといった別の治療法を勧められることもあります。
メリット・デメリットをしっかりと把握したうえで、検査データも踏まえ、主治医へよく相談して治療法を決めましょう。トモセラピーが気になっている方は、導入している医療機関を受診し、治療法について医師に相談してください。
がんの方の生活の質を高めるための「緩和ケア」について紹介しているサイトです。主治医に「治療がない」と言われた方でも受けられる可能性がある治療についてもまとめています。