このページでは、頭蓋咽頭腫治療におけるトモセラピーのメリット・デメリットを紹介しています。
強度変調放射線治療(IMRT)専用の治療装置とされているトモセラピーを用いた治療には、さまざまなメリットが期待できます。IMRTは病巣へ放射線をピンポイントで照射でき、高精度で立体的に腫瘍の形状に合わせつつ、3次元的に多方向から放射線をあてられる治療です。頭蓋咽頭腫をはじめ、神経膠腫、髄膜腫、神経鞘腫、髄芽腫、中心細胞腫などの疾患も治療適応です。
トモセラピーを使用すると、病巣の複雑な形状に合わせて、放射線の方向や位置、照射範囲、照射時間を適切に調整できます。CTのように患者の周囲を螺旋状に回転しながら、細い照射ビームを組み合わせて照射します。
事前のCTで病巣が明確になった立体的な形状データをもとに、プログラミングされた制御機能によって正確にコントロールし、複雑な形をした病巣を狙い撃ちします。
従来使用されていた放射線では、病巣周囲にある健康な組織へも照射されてしまうことが避けられませんでした。しかし、トモセラピーなら、正常組織へのダメージを抑え、短時間で効率よく治療可能です。また、治療時には痛みや出血も伴わないため、患者にかかる負担を軽減できます。
トモセラピーは副作用が起きにくいといわれていますが、症状が何も見られないというわけではありません。吐き気や嘔吐といった副作用が生じる場合もありますが、その多くは、治療後数日でおさまります。
また、運動領野周辺に病巣がある場合、けいれん発作が起きる可能性があります。
吐き気が強く見られてしまい食事をとれない場合、少しずつ何回かにわけて食べる・ゼリーやフルーツなど食べやすい食品を選ぶなど、食べるタイミングや食事内容を工夫しましょう。
放射線治療を受けた方の中には、頭髪が円形脱毛症のように抜けてしまうことがありますが、ほとんどのケースの場合、数か月間で再生します。治療した腫瘍周囲に、脳浮腫や放射線壊死が見られる可能性もあります。副作用の症状や程度は、個人差があるため、気になる点は主治医へ確認するようにしてください。
トモセラピーは、病巣に狙いを定めて治療するので、正常組織への負担の軽減が期待できます。今回ご紹介した以外にもメリットのある治療法ですが、すべての方に適している治療法とは言えません。
頭蓋咽頭腫は、外科的な腫瘍摘出術が基本とされており、手術で取りきれなかった部位や再発した腫瘍に対しては、放射線治療を行うことがあります。
メリット・デメリットをしっかりと把握したうえで、検査データも踏まえ、医師としっかりと話し合うようにしましょう。トモセラピーによる治療を希望している方は、導入している医療機関を受診し、治療法について医師に相談してください。
がんの方の生活の質を高めるための「緩和ケア」について紹介しているサイトです。主治医に「治療がない」と言われた方でも受けられる可能性がある治療についてもまとめています。