1日に行われる治療回数は、疾患の内容や照射する箇所によって異なります。1回の照射で終わる治療から30回以上照射を行うケースまでさまざまです。例えば前立腺がんの場合、40回程度照射を行います。また、乳がんで乳房温存手術を行った後に、乳がん予防を目的としたトモセラピー治療を行う場合には、25回程度の照射を行います。ただし、治療内容にもよりますが、通常は1日1回行うのが一般的です。
ある病院で、トモセラピー治療を施した部位と回数を紹介します。脳や脊髄にトモセラピー治療を施す回数は、約8回。甲状腺を含めた頭頸部は6回程度、食道は9回と、首から上の治療回数は比較的少ないことがわかります。回数が多い部位として上げられるのは、肺や気管、縦隔系で約51回、乳腺は103回の治療を受けるケースが多いです。 ちなみに目的別の治療件数としては、根治治療で約270回、緩和治療目的では約110回でした。
トモセラピーの1回の治療時間は、照射回数などによって変わってきますが、位置照合を合わせて多くは20分程度で終わります。また月曜から金曜の平日に繰り返し治療を受けます。これまでの放射線治療よりも治療時間が長くなりますが、ピンポイントでがん細胞に放射線を照射できることから、患者の負担も比較的小さくなりました。治療時間自体に加え、受付からの待ち時間が発生する場合がほとんどなので、拘束時間はさらに長くなると考えたほうがよいでしょう。
照射が終わったあとは、病院によってCTやMRIなどの検査を行うところもあります。こうした検査が入る場合は、治療時間はさらに長くなります。 ただし、トモセラピーはCTと放射線治療装置が一体化した治療機器なので、CTと放射線治療を行ったりきたりする必要がないため、その分拘束時間は短くなり、この点はトモセラピーのメリットのひとつだといえます。
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トモセラピーの治療期間は、前立腺がんの治療で40回程度の治療を行う場合、治療期間は7〜8週間ほどです。ただし、トモセラピーの治療は、治療計画から始まります。CTの撮影を行い、撮影から1〜2週間後に治療開始となる場合があります。CTの検査後、一般的な保険診療の場合は5〜8週間ほどの期間を要すると考えておきましょう。ただし、照射範囲によって期間は大きく変わってきますので、病院で確認するのが確実です。
また、事前のCT撮影で照射位置の照合が難しいと判断された場合、排便や排ガス処置を行うことがあります。こうした処置が入ると、治療終了までの期間はさらに長くなります。 ちなみに、治療計画とCT撮影から、実際の治療に入るまでの日数は、病院によって違うことに加え、症状などによっても変わってきます。1週間以内に治療を開始できるケースもあるようです。
また、トモセラピーではがん細胞が小さい場合、高い線量をがん細胞にピンポイントで照射する「定位放射線治療」に対応している病院があります。この方法では治療完了までの期間を短縮できる場合もあるため、治療を希望される人や内容について詳しく知りたい人は、病院に相談してみるとよいでしょう。
がんの方の生活の質を高めるための「緩和ケア」について紹介しているサイトです。主治医に「治療がない」と言われた方でも受けられる可能性がある治療についてもまとめています。