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トモセラピーによる乳がんの治療

このページでは、乳がん治療におけるトモセラピーのメリット・デメリットを紹介しています。

トモセラピーで乳がんを治療するメリット

照射位置の調整が可能

トモセラピーは、IMRT(強度変調放射線治療)とIGRT(画像誘導放射線治療)を組み合わせた放射線治療装置です。IMRTは対象となるがん組織に合わせて放射線の角度や照射範囲・照射時間などを調整する治療、IGRTは治療直前にCT撮影を行い基準の画像を参考に照射位置を自動修正する治療といえるでしょう。

以上の特徴があるため、トモセラピーは狙った乳がんにピンポイントで放射線を照射できます。したがって、従来の治療よりも健康な組織への被ばくと副作用を抑えられる可能性があります。薬物療法に比べ、全身の副作用が起こりにくい点も特徴です。

角度を固定した照射も可能

トモセラピーの特徴は、360度から狙ったがん組織に放射線を照射できることです。ただし、背中側から乳がんに照射すると、放射線が多くの健康な組織を通過することになります。

この問題点を解決するため採用されているのが、照射角度を固定する方法です。トモセラピーは1本あたりのエネルギーが少ないため、角度を固定しても周辺組織に与える影響を抑えられる可能性があります。したがって、上記の方法でも副作用をある程度抑えられることが期待できます。

体への負担がある程度抑えられる

トモセラピーは、放射線治療のひとつです。皮膚を切開しないため、手術のように治療時に痛みや出血を伴うことはありません。外科手術による対応が難しい方でも治療を受けられる場合があるのが、トモセラピーの特徴といえます。

通院治療も症状によっては可能

1回あたりの治療時間は10~30分程度です。手術や薬物療法と同じく、トモセラピーでも乳がんを治療できるケースもあります。入院を要するケースもありますが、乳がんの進行状態や患者さんの状態によっては通院で治療が可能である場合も。

トモセラピーで乳がんを治療するデメリット

皮膚炎を起こす恐れがある

副作用を抑えやすいトモセラピーですが、副作用が全く起こらないわけではありません。問題になりやすい副作用のひとつが皮膚炎です。他の放射線治療と同じく、皮膚がヒリヒリするなどの症状が現れます。治療後のヒリヒリとした症状に関しては、軟膏を塗るなどで和らげることができます。

肺炎を起こすことがある

トモセラピーを受けてから、肺炎に罹るリスクが高くなります。肺は放射線に対して弱い組織と考えられています。具体的な症状は、熱や咳などです。これらの症状に悩まされる場合は、主治医に相談しましょう。

乳がんの治療方針を決めるときの注意点

トモセラピーは、健康な組織の被ばくを抑えられる可能性のある治療法です。さまざまな特徴のある治療法ですが、全ての方に適している治療法とはいいきれません。ケースによっては、手術療法や薬物療法が適していることもあります。

メリット・デメリットだけでなく、検査データなどを踏まえて治療法を決定する必要があります。まずは、トモセラピーを導入している医療機関で、治療法について医師に相談するとよいでしょう。

       
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