このページでは、神経鞘腫(シュワン細胞腫)治療におけるトモセラピーのメリット・デメリットを紹介しています。
高精度放射線治療とは、定位放射線照射や強度変調放射線治療(IMRT)など、コンピュータ制御下において、がん病巣を狙い撃ちする治療法のことです。治療対象となっている疾患は固形悪性腫瘍全般であり、髄膜腫や神経膠腫、神経鞘腫、髄芽腫、中心細胞腫、上衣腫も適応しています。
トモセラピーは、コンピュータ断層撮影装置とリニアック(放射線治療装置)を一体化させた装置のことで、正確にがん病巣と照射部位を把握し、ピンポイントに放射線を集中照射できます。複数のがん病巣を同時に照射できるのもメリットだといえます。
トモセラピーは、治療時に痛みや出血などの苦痛を伴いません。正常な組織への被曝を抑えられるとされ、従来の放射線治療よりも副作用が少ないといったメリットがあります。病状にもよりますが通院による治療も可能なため、1回あたりの照射時間は通常5〜20分程度で済む点も大きな特徴です。
放射線照射中~直後には、重篤な副作用が見られることはあまりないとされていますが、頭痛や悪心、嘔吐、めまい、全身倦怠感などといった症状が出ることがあります。しかし、放射線治療の範囲に脱毛が見られるケースもあるほか、日焼けのようになる放射線皮膚炎も起こることがあります。また、外耳道炎や中耳炎もしばしばみられるため、注意が必要です。皮膚炎や外耳道炎、中耳炎は、塗り薬や点耳薬で治療終了後に徐々に改善していくとされています。
放射線治療の方法が進歩しているため、起こる可能性は数%以下といわれていますが、放射線脳壊死やホルモン分泌低下、神経障害、水頭症が起こる可能性があります。治療前に放射線治療の担当医にしっかりと確認しておくのが望ましいです。
神経鞘腫は、発生部位によって症状が異なるのが特徴です。多くの場合、皮下組織や筋肉のような軟部組織に発生するといわれ、消化器官などの部位に発生することもあります。中でも脳・脊髄神経に発生するもののうち、聴神経や三叉神経に発生するケースが多いです。
前述の通り、発生する場所によって症状は異なるとされていますが、三叉神経に発生すると、顔や口の中の左右どちらか片方に麻酔がかかったような鈍い感じやしびれ、強い痛みが見られ、聴神経に発生すると聴力低下が起きることがあります。トモセラピーは、病巣に狙いを定めて照射できるため、正常組織への負担を抑えやすいなど、ざまなメリットや特徴のある治療法ですが、すべての方に適している治療法とはいい切れません。場合によっては、薬物療法や手術療法などといった別の治療法が適している場合があります。
メリット・デメリットをしっかりと把握したうえで、検査データも踏まえ、主治医とよく話し合うことが重要です。トモセラピーによる治療を受けたいと考えている方は、導入している医療機関を受診し、治療法について医師に相談してください。
がんの方の生活の質を高めるための「緩和ケア」について紹介しているサイトです。主治医に「治療がない」と言われた方でも受けられる可能性がある治療についてもまとめています。