このページでは、嗅神経芽細胞腫(きゅうしんけいがさいぼうしゅ)治療におけるトモセラピーのメリット・デメリットを紹介しています。
トモセラピーはアメリカで開発されたがんの放射線治療装置であり、従来の放射線治療装置とはちがい、がん病巣に集中して沢山の放射線を照射でき、正常組織への線量を軽減できます。
嗅神経芽細胞腫(きゅうしんけいがさいぼうしゅ)という、鼻の中の上側に存在する嗅上皮から発生する珍しい腫瘍も治療できるほか、外耳がん・中耳がん・内耳がん・甲状腺癌・神経芽腫などの疾患も治療できます。
トモセラピーは、コンピュータ制御により、放射線の形状・強度を変化させながら、360度方向から照射していく治療装置です。放射線を照射する際、がん病巣へ狙いを定めて照射し、周囲の正常臓器にあたる放射線を軽減します。
トモセラピーは、正常組織への線量を軽減し、患者の身体にかかる負担を軽減させられる治療です。病状によっては、通院で治療が可能なため、いつもと変わらない生活を送りやすいメリットが期待できます。治療時には、痛みや出血などの身体的な症状を伴わないのも大きな特徴です。
トモセラピーは副作用が起きにくいことで知られていますが、全く見られないわけではありません。副作用は照射範囲によって異なりますが、粘膜炎・味覚障害・口内乾燥などが起こる場合があります。
粘膜炎の痛みが生じると、経口摂取量の減少が見られるほか、それに伴う体重減少・体力低下などのおそれもありますので、心配なことは医師や看護師に確認しておきましょう。
がん病巣へ放射線を照射すると、嗅覚の情報を伝達する鼻から脳へつながる中枢神経が放射線によって変調をきたす場合があります。嗅覚の変化が発生した場合、不快感を感じるにおいを確認して、身のまわりから遠ざけるようにしましょう。においが立つような加熱調理を控えるようにして、冷たい料理やゼリー飲料などを取り入れるのも1つの手段です。
トモセラピーは、がん病巣に狙いを定めて治療しますので、周囲の正常な組織への負担を軽減できます。今回ご紹介した以外にもメリットのある治療法ですが、すべての方に適している治療ではありません。
嗅神経芽細胞腫(きゅうしんけいがさいぼうしゅ)の治療は、手術での完全切除と術後放射線治療が基本とされています。
メリット・デメリットをしっかりと把握したうえで、検査データも踏まえ、担当医としっかりと相談するようにしましょう。トモセラピーによる治療を希望している方は、導入している医療機関を受診し、治療法について医師に相談してください。
がんの方の生活の質を高めるための「緩和ケア」について紹介しているサイトです。主治医に「治療がない」と言われた方でも受けられる可能性がある治療についてもまとめています。