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トモセラピーによる神経膠腫(グリオーマ)の治療

このページでは、神経膠腫(グリオーマ)治療におけるトモセラピーのメリット・デメリットを紹介しています。

トモセラピーで神経膠腫(グリオーマ)を治療するメリット

神経膠腫も治療適応

高精度放射線治療とは、定位放射線照射や強度変調放射線治療(IMRT)など、コンピュータ制御下において、がん病巣を狙い撃ちする治療法のことです。脳腫瘍では、転移性脳腫瘍だけではなく、神経膠腫や聴神経腫瘍、髄膜腫、下垂体腫瘍といった疾患も対象としています。

正常な組織をなるべく避けて照射可能

前述の通り、IMRTとはコンピューターによる緻密な計算によって、腫瘍の形に合わせて放射線を照射します。がん組織に高い放射線量を与えつつも、周囲の正常組織への線量を低く抑えられる治療方法です。定位生検のみのグリオブラストーマ(膠芽腫)に対してトモセラピーで、脳幹と眼球をなるべく避けて照射できます。

均一な線量分布を得られやすい

ガンマナイフの場合、病巣が大きくなってしまうと不整形のターゲットには、標的内部の線量が不均一になってしまう欠点があります。また、がん病巣周囲の正常な組織に対して高線量が照射されてしまうリスクが高いことから、正常細胞と腫瘍細胞が混在するとされる悪性神経膠腫に適さないといわれれています。

これに対して、リニアックによる定位放射線照射ではマイクロマルチリーフコリメータ(mMLC)を採用しています。リーフと呼ばれるビームの絞りを腫瘍の形状に合わせることによって、不整形のビームを照射でき、一つのアイソセンターでも均一な線量分布を得られるようになっています。

トモセラピーで神経膠腫(グリオーマ)を治療するデメリット

皮膚炎を起こす恐れがある

副作用を抑えやすいことで知られているトモセラピーですが、副作用が全く起こらないわけではありません。比較的早い時期にあらわれやすい副作用として、放射線の照射部位に見られる皮膚炎や中耳炎、外耳炎などがあります。上記以外には、それとは関係なく見られる倦怠感や吐き気、嘔吐、食欲低下といった症状があり、これらは照射後約1カ月で消失するといわれています。

晩期合併症が見られる方もいる

放射線治療が終了し、数カ月〜数年後に認知機能の低下や運動機能障害といった晩期合併症が見られることもあります。このような影響は、高齢者に見られやすい傾向がありますが、副作用の表れ方や程度には個人差があります。

神経膠腫(グリオーマ)の治療方針を決めるときの注意点

神経膠腫(グリオーマ)は、特徴的な症状があまりなく、手足のまひ・言葉が出ない・認知機能の低下など、腫瘍ができた部位によって症状も異なります。頭痛やてんかんがみられるケースもあります。気になる症状がみられる場合、早めに医療機関を受診する必要があります。

トモセラピーは、がん病巣に狙いを定めて照射できるため、健康な組織の被ばくを抑えやすい治療法です。さまざまなメリットや特徴のある治療法ですが、すべての方に適している治療法とはいいきれません。場合によっては、薬物療法や手術療法を勧められるケースがあります。

メリット・デメリットを把握しておくのはもちろんく、検査データも踏まえて治療法を決める必要があります。まずは、トモセラピーを導入している医療機関を受診して、治療法について医師に相談してみましょう。

       
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