このページでは、唾液腺のがん治療におけるトモセラピーのメリット・デメリットを紹介しています。
強度変調放射線治療の専用装置であるトモセラピーは、放射線治療装置とCTが一体となっているため、画像誘導放射線治療による精密な放射線治療を行えます。以前から、唾液腺がんの治療に用いられてきました。
トモセラピーのメリットの1つに、病巣のみへの照射を行える点が挙げられます。事前にCT撮影を行い、そのデータを基にして、放射線を集中的に病巣へ照射できることから、小さながん病巣へのピンポイント照射はもちろん、複雑な形状のがん、複数の腫瘍への治療が可能です。
トモセラピーは、少しずつ寝台が動いていく中を360度方向から連続的に回転しながら放射線を照射できます。このような性質を持つことから、頭頚部がんや食道がんのような頭尾側方向に長い大きな病変にも対応できます。
また、さまざまな放射線ビームを重ねることでがん病巣と周辺組織への放射線量を適切に抑えることができます。標的には高い放射線量を与え、周囲の正常な組織には影響を小さくできるよう放射線量を抑えられます。
参照元:宇都宮セントラルクリニック「トモセラピーとは?〜当院での治療例をふまえて〜」(https://ucc.or.jp/therapycenter/column/2021/10/26/9806)
トモセラピーによる治療は、痛みや出血などを伴わず身体的負担が少ないのもメリットです。病状によっては、外来での治療にも対応しているため、日常生活を送りながら通院治療も可能です。仕事の合間にトモセラピーによる治療を受けている方もいます。このように、自分らしい生活を送りながら治療を受けられるのは、患者にとって大きなメリットです。
しかし、がんの状態によっては入院が必要なことがあるため、事前に主治医に確認しておきましょう。
トモセラピーは副作用を抑えられる可能性がある治療法ですが、全く症状が見られないわけではありません。トモセラピーによる治療を受けた後に、唾液分泌障害、粘膜炎、皮膚炎などの症状が見られることもあるため、注意が必要です。
上記のような副作用の現れ方には個人差が見られるため、不安な点がある方は主治医に確認してみましょう。
唾液腺に放射線をあてると、唾液の分泌が減少することがあります。唾液の量が減ると、口腔内が乾燥しやすくなり、食べ物が飲み込みにくくなることがあるのです。飲み込みにくいときは、少量ずつ摂取するほか、水分にとろみをつけると飲み込みやすくなります。
また、虫歯になりやすくなる方もいるため、治療前より歯科で治療を受けたり、口腔内の清潔を保つよう心がけたりしましょう。
唾液腺がんの治療に用いられることがあるトモセラピーは、さまざまなメリットがある治療法です。その反面デメリットもあり、唾液腺がんすべての症例に適用できるわけではありません。症状によっては、他の治療方法を勧められることもあります。
トモセラピーによる治療を受けたいと考えている方は、主治医に相談して、対応している医療機関への受診を検討しましょう。その上で、より良いと考えられる治療方法を検討してください。
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