このページでは、外耳がん治療におけるトモセラピーのメリット・デメリットを紹介しています。
外耳がん(外耳道がん)は、名称通り耳の穴の一番手前に位置する外耳のがんで、その発症率は100万人に1人程と稀です。
そして、さまざまながん治療に用いられているトモセラピーは、ピンポイントでの放射線照射が可能であるため、この外耳にも利用されています。
そもそもトモセラピーとは、IMRT(強度変調放射線治療)とIGRT(画像誘導放射線治療)を組み合わせた装置を指します。
IMRTは対象とするがん組織に対し、放射線の角度や照射範囲・照射時間などを調整しながら治療することができます。
IGRTは治療の前にCT撮影を行い、その画像を参考にして照射位置を自動修正する機能を備えています。
仮に外耳がんが進行していた場合、手術を行おうとすると広範囲の切除することになりかねません。そのため術後には機能障害が発生する問題をはらんでいます。
こうしたことから、外耳がんの治療には機能温存を目的とし、ピンポイントでがんにアプローチできる放射線が用いられるケースが少なくありません。
さらには仮に手術を行った場合でもその補助療法としてもトモセラピーが用いられることがあり、合併症の減少にも期待が持たれています。
早期の外耳がんであれば、たとえ手術をしても切除の範囲は小さく、耳の後ろを切開するだけにとどまることがあります。
しかし、がんが進行していた場合、手術をしようとするとその切開範囲はさらに広くなる可能性があります。
一方、トモセラピーの場合は皮膚を切開することがないため、特に頭部のように目立つ箇所においても顏などに傷を残さす治療を行えます。
また、従来の手術よりも健康な組織に対する被ばくや副作用も抑えられる可能性があります。
トモセラピーは従来の放射線治療と比べ、副作用が少ないと言われています。しかし、患者の体質や体調などにより、照射したところに皮膚炎が生じるケースも見られます。
放射線の照射によって皮膚炎が認められた場合、それは「局所的な副作用」とみなされます。炎症の程度にもよりますが、完治するまでに期間がかかってしまうこともあります。
また、皮膚炎はかゆみを伴ったり、肌の乾燥を感じたり、色素沈着や赤味が指すといった症状が現れるなどさまざまなパターンがあります。
局所的な副作用は皮膚ばかりではなく、頭髪に現われることもあります。個人差がありますが、放射線を照射した部分の毛母細胞に負担がかかり、その毛髪が抜け、脱毛を起こしてしまうことがあります。
しかしながら局所的な副作用であるため、脱毛が起こっても放射線治療が終わればいずれ改善される可能性もあります。
外耳がんの治療方針については、まずしっかりと医師と相談した上で、トモセラピーなどの放射線治療をどのように行うかが見極められていきます。
トモセラピーはさまざまなメリットのある治療法ですが、デメリットがゼロというわけではありません。
症状によっては別の方法でがん治療が続けられるかもしれません。
トモセラピーを導入している医療機関を受診する際も、治療法について医師と充分に相談しましょう。
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