かんわのわ|あきらめないがん治療と緩和ケアのお話【東京版】 » 痛みの緩和も期待できる放射線治療トモセラピー » トモセラピーによる皮膚がんの治療

トモセラピーによる皮膚がんの治療

トモセラピーと皮膚がん

皮膚がんには、さまざまな種類があります。主なものには悪性黒色腫(メラノーマ)、有棘細胞癌、乳房外パジェット病、血管肉腫、基底細胞癌があり、治療方法も異なります。そのなかでも血管の内側ががん化する 血管肉腫は、トモセラピーを用いた治療に向いていると言われています。

このがんでは、頭部という弯曲した部位に生じた、面積の比較的広い病変に放射線を当てることになります。そのような部位に向いているのが、複雑な病巣や、一度に複数の腫瘍に対応できるトモセラピーということなのです。

皮膚がんについて

皮膚がんは上記のように、一つの病気ではありません。皮膚などにできるさまざまながんの総称を皮膚がんと呼んでいるのです。皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3層構造になっています。表皮は平均約0.2ミリと非常に薄く、それが角質層、顆粒層、有棘層、基底層の4層に分かれています。この表皮部分だけにがんがとどまっていれば、基本的に切除だけで治療ができます。しかし、 真皮にまで達していれば、薬や放射線なども使い治療をしていく必要があるのです。以下に皮膚がんの特徴や治療について解説していきます。

悪性黒色腫(メラノーマ)

皮膚の色素細胞ががん化したものです。悪性度が高く早期に転移や再発をすることがあります。治療は手術による切除が基本です。所属リンパ節以外のリンパ節転移や内臓転移があった場合は薬物療法となります。

有棘(ゆうきょく)細胞癌

表皮の中間にある「有棘層」を構成する細胞から発生するがんで、高齢者に多いのが特徴です。一見、湿疹のような見た目をしていて、表皮内にあれば転移することはほとんどありません。治療方法は手術療法が中心で、ステージⅢ以降は放射線化学療法となります。

乳房外パジェット病

皮膚に分布する汗腺の1つである「アポクリン腺」に由来するといわれる皮膚がんです。乳房に発生した場合には「乳鋲バジェット病」、外陰部や肛門周囲、脇の下などアポクリン腺が多く存在する場所に発生した場合は、「乳房外パジェット病」と言われます。男性では陰嚢から陰茎にかけて発生します。表皮にとどまっている場合には手術療法、転移などがある場合には放射線治療や化学療法をおこないます。

血管肉腫

血管内側の細胞(血管内皮細胞)が、がん化したものです。肉腫自体がまれな病気ですが、血管肉腫は全肉腫のなかでも1%程度と非常にまれな病気です。最近、放射線に抗がん薬を併用する治療法で良い成績が得られたという研究成果が発表され、前述のようにトモセラピーも注目されています、

基底細胞癌

皮膚がんの中で世界で一番多いがんです。ほくろのように見えて、紫外線によって引き起こされる可能性が高いです。転移はしにくく、手術が基本となります。

皮膚がんの治療方針を決めるときの注意点

皮膚がんの中でもトモセラピーは血管肉腫への使用が期待されています。ただ、そのほかの選択肢も病期の進行具合や身体の状態に合わせて検討する必要があります。どのような治療が選択できるのか、主治医とよく相談をして、納得した上で治療方法を決定していきましょう。

       
~がんと向き合うあなたへ~
緩和ケアと治療の
お話

がんの方の生活の質を高めるための「緩和ケア」について紹介しているサイトです。主治医に「治療がない」と言われた方でも受けられる可能性がある治療についてもまとめています。

         緩和ケアと治療の可能性
についてもっと見る