このページでは、胸腺がん・胸腺腫治療におけるトモセラピーのメリット・デメリットを紹介しています。
トモセラピーはアメリカで開発されたがんの放射線治療装置であり、従来の放射線治療装置と異なり、がん病巣に集中して放射線を照射でき、正常組織への線量を軽減できる治療法です。
トモセラピーは、胸腺の上皮細胞から発生する胸腺腫と胸腺がんも治療できるほか、小細胞肺癌・非小細胞肺癌などの疾患も治療できます。
トモセラピーによる治療は、内臓されているCT機能によって照射直前に撮影を行います。その画像データをもとに、照射位置を瞬時に自動修正することによって、高い精度の放射線照射を行えます。高い精度でがん病巣に限定した照射を行えるため、通常の放射線治療よりも低い放射線レベルで治療効果をあげられます。
トモセラピーは、複数のがん病巣を同時に治療できます。病状によっては、通院で治療ができるため、いつもと変わらない生活を送れる可能性があります。治療時には、痛みや出血などの身体的な症状を伴わないため、患者にとって優しい治療といえます。
トモセラピーは副作用が起きにくい治療法ですが、全く症状が見られないわけではありません。副作用は照射範囲によって異なりますが、胸部への放射線療法中にみられやすい合併症として、白血球減少・貧血・食事のときにしみたり痛みが見られたりする放射線食道炎などが挙げられます。症状には個人差が見られやすいですので、心配なことは主治医へ確認してください。
胸部へ放射線を照射すると、皮膚が赤くなったり、ひりひりしたりする場合があります。皮膚にかゆみがみられた場合、塗り薬を処方してもらえることがありますので、掻かずに担当医か看護師に伝えてください。
上記のほかには、飲食の際に違和感やつかえ感が見られることがあります。食事は香辛料が強いものや、熱いものなどの刺激物を避けるようにしてください。つかえ感が出た場合は、必要に応じて粘膜を保護する薬を処方してもらえることがあるため、医師や看護師に相談してください。
トモセラピーは、がん病巣に狙いを定めて治療するため、周囲の正常な組織への負担を軽減できます。今回ご紹介した以外にもメリットが期待できる治療法ですが、すべての方に適している治療ではありません。
胸腺腫・胸腺がんの治療は、手術・放射線療法・薬物療法があります。すべての腫瘍が取り切れると判断された際には、手術が行われ、腫瘍と一緒に胸腺をすべて摘出します。胸腺がんでは、周囲の組織にがんが広がっているケースでは、すべて切除できても補助的に放射線療法を追加する場合があります。
メリット・デメリットをしっかりと把握したうえで、検査データも踏まえ、担当医としっかりと相談するようにしてください。トモセラピーによる治療を希望している方は、導入している医療機関を受診し、治療法について医師に相談してください。
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