このページでは、悪性末梢神経鞘腫治療におけるトモセラピーのメリット・デメリットを紹介しています。
悪性末梢神経鞘腫(malignant peripheral nerve sheath tumor: MPNST)とは、末梢神経から発生する悪性腫瘍であり、軟部肉腫のおよそ5~10%を占めます。約半数が遺伝性腫瘍症候群とされる神経線維腫症1型(NF1)に罹患する患者に発症するといわれている点がほかの軟部肉腫と大きく異なる特徴の1つです。
この疾患は、30~50歳の方に好発しやすいですが若年層でも診断される例もあります。
発生しやすいのは、四肢の中でも特に近位(体幹に近い部位)や体幹、頭頚部など。見られやすい症状として、腫瘍が発生した周囲にしこりが触れることがあり、時間の経過とともに大きくなっていくのが特徴です。腫瘍が神経を圧迫することで、罹患部位の痛みや、運動障害・感覚障害が生じることがあります。
また、遠隔転移することもあり、肺に転移することで、胸痛・咳・呼吸困難・血痰といった症状が出現します。
画像診断では、MRIやCTスキャン、組織学的検査を行います。MRI撮影は、腫瘍の大きさや浸潤範囲、良性・悪性との鑑別に有用とされています。
悪性末梢神経鞘腫には、以下のような治療をおこなうケースがあります。
トモセラピーは、アメリカで開発されたがんの放射線治療装置です。放射線治療装置とCTが一体となった強度変調放射線治療(IMRT)を行える装置であり、がん病巣に対して高線量を集中的に照射しながらも、周囲の正常な組織への影響を低減できるのがメリットです。
骨肉腫や軟骨肉腫、ユーイング腫瘍、脂肪肉腫、繊維肉腫といった幅広い疾患のほかに、悪性末梢神経鞘腫にも適応しています。
トモセラピーを使用したがん治療は、転移したがんや、複雑な形状の病巣にも照射可能です。毎回照射する前に、病巣とその周囲の正常組織の位置を確認し、CT撮影で位置照合をおこなえるため、精度の高い治療が行えます。
トモセラピーによる治療は、照射の際に熱さや痛み、出血などの症状を伴いません。全身の状態や検査データによっては、通院による治療が可能なため、生活の質を維持したまま治療できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
トモセラピーは副作用が見られにくい治療法ですが、症状が何も現れないわけではないため、注意が必要です。照射した部位の赤みや腫脹といった症状が見られるおそれがあります。起こりうる副作用には個人差があるため、不安な点は、主治医に確認するようにしてください。
体幹へ照射すると、腹痛や嘔気・嘔吐、胃もたれ、下痢、血尿といった消化器症状が見られる可能性があります。食欲がどうしても出ない場合は、栄養補助食品や冷たくて食べやすい食品(プリン・アイスなど)を取り入れてみましょう。
また、嘔気が見られる場合は、食前に、レモン水や番茶などでうがいをすると嘔吐予防につながります。気になる症状が現れた場合には、迷わず医師に相談してください。
トモセラピーによる照射は、がん病巣を集中的に照射できる精度の高いがん治療をおこなえます。トモセラピーによる治療には、ご紹介した以外にもさまざまなメリットがありますが、すべての方に合っているわけではありません。
悪性末梢神経鞘腫の治療は、手術療法や薬物療法・放射線療法などがあり、状態に合わせて選択することになります。
トモセラピーによる治療を検討している方は、導入している医療機関を受診して、不明な点をよく確認するようにしてください。
がんの方の生活の質を高めるための「緩和ケア」について紹介しているサイトです。主治医に「治療がない」と言われた方でも受けられる可能性がある治療についてもまとめています。