まず、一番重要なことは、卵巣がんにおいて最初の治療でトモセラピーを含めた放射線治療が選択されることは通常ありません。その理由は、薬物療法の効果が高いためで、まず薬物療法をおこなうことになります。そのため、トモセラピーは卵巣がんの最初の治療選択肢にはなりません。しかし、再発した場合や転移したがん、痛みの症状を緩和するためには放射線治療が使用される場合があります。
卵巣がんは卵巣に発生するがんのことです。卵巣がんの種類としては、大きく「上皮性腫瘍」、「胚細胞腫瘍」、「性索間質性腫瘍」の3つに分けることができ、このうち上皮性腫瘍が最も多くなっています。
その割合は約90%にものぼり、卵管がんも同様に上皮性腫瘍が多いと言われています。上皮腫瘍とは、体の表面や管腔臓器(消化器、呼吸器、泌尿器・生殖器、乳房など)の表面を覆う細胞に発生するがんのことです。放置をすれば進行して腹膜や大網膜という大腸や小腸を覆う組織に広がります(腹膜播種:ふくまくはしゅ)。腹膜播種が起こると、大腸や小腸、脾臓、お腹の中を通る大きな血管付近のリンパ節に転移することがあります。また、肺や肝臓、骨、脳などへの遠隔転移の可能性もあります。
卵巣がんは初期症状がほとんどありません。お腹が張った感じがしたり、下腹部にしこりを感じるなどの症状で医療機関を受診することが多いです。その他の症状としては、食欲がなくなる、がんが大きくなると膀胱や直腸を圧迫するために頻尿や便秘が起こることもあります。
ただ、日頃から意識をしていないと気づきにくい症状のために、受診した段階ではすでにがんが進行していることも多くあります。少しでも異変があれば、早めの受診を心がけましょう。
卵巣がんの検査では、触診、エコー、CT、MRI。腫瘍マーカーなどの検査があります。触診では、膣から指を入れて調べる内診によっておこなわれます。エコー検査では体の表面から検査する場合と、より詳細な検査では腟の中から超音波をあてて調べる経腟超音波断層法検査を行う場合もあります。
リンパ節転移や遠隔転移を調べるためにはCT検査を、より深部の骨盤などの状態を調べる場合にはMRI検査を実施します。また、卵巣がんでは、がんの種類によって特定のタンパク質が作られることを利用した腫瘍マーカー検査も実施されることがあります。ただ、この検査は診断の補助や治療後の経過を観察するなど補助的に使われます。
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