このページでは、網膜芽細胞腫治療におけるトモセラピーのメリット・デメリットを紹介しています。
強度変調放射線治療(IMRT)専用の治療装置であるトモセラピーを使用すると、さまざまなメリットが期待できます。網膜芽細胞腫をはじめ、神経膠腫や髄膜腫、神経鞘腫 髄芽腫、中心細胞腫、上衣腫、頭蓋咽頭腫などの疾患も治療適応です。
トモセラピーにはCTが内蔵されているため、放射線を照射するがん病巣の位置を確認し、放射線装置ががんの大きさや形を捉えてピンポイントで放射線を照射することが特徴となっています。
がん病巣の周辺にある正常な組織を避けながら、病巣だけに線量を集中できるのが、トモセラピーの最大のメリットです。周辺の正常な組織への影響が少なく、がんに高い線量の放射線を当てられるため、大きな治療効果が期待できます。
トモセラピーを使用した治療の場合、1回あたりの照射時間は通常5〜20分程度です。体力的に負担がかかりにくいのはもちろんですが、日常生活を送る上でも治療にかかる拘束時間が短いのも大きなメリットです。患者にとって、負担の少ない優しい治療といえます。
トモセラピーは副作用が起きにくいことで知られていますが、症状が何も見られないというわけではありません。眼球や眼瞼結膜の炎症による流涙や疼痛、眼脂症状を認めることもあり、眼周囲の皮膚の炎症を起こす可能性があるため注意が必要です。
「涙目が続く」「見えにくくなってしまった」という症状が生じたら、必ず担当医に伝えるようにしましょう。日常生活の中では、手で目を擦らないようにしたり、ハンカチは清潔なものを使用したりするのが大切です。
晩期有害事象が見られるケースがあります。緑内障や放射線白内障、眼球乾燥、結膜炎、角膜潰瘍を認めることがあるため、注意が必要です。線量によっては視力低下をきたす可能性も。このような症状には個人差があるため、気になることがある方は、主治医へ確認しましょう。
トモセラピーは、がん病巣に狙いを定めて治療するため、正常組織への負担を軽減しやすいのがメリットです。今回ご紹介した以外にもメリットのある治療法ですが、すべての方に適している治療ではありません。
網膜芽細胞腫は、手術で可能な限り腫瘍を切除します。術後は全身に対する抗がん剤治療や、腫瘍の見られた部位に放射線治療を⾏うことがあります。
メリット・デメリットをしっかりと把握したうえで、検査データも踏まえ、主治医としっかり相談することが重要です。トモセラピーによる治療を希望している方は、導入している医療機関を受診し、治療法について医師に相談してください。
がんの方の生活の質を高めるための「緩和ケア」について紹介しているサイトです。主治医に「治療がない」と言われた方でも受けられる可能性がある治療についてもまとめています。