このページでは、直腸癌治療におけるトモセラピーのメリット・デメリットを紹介しています。
トモセラピーは、アメリカで開発された放射線治療機器であり、がん治療時に使用されています。CTと放射線治療装置が一体化された強度変調放射線治療(IMRT)専用の装置で、患者にとって優しいがん治療を行えるのが特徴です。
トモセラピーは、食道がんや胃がんといったがんのほかに、直腸癌、結腸癌など幅広い疾患の治療を行えるのも強みの1つです。
患者のがんの状況に合わせて、ピンポイントな治療はもちろん、より広い範囲まで使用可能な汎用性の高い放射線治療装置といわれています。 治療を受ける場合、仰向けで寝たまま、CT検査のようにベッドが動きながら照射します。治療時間も比較的短くて済むのも大きな特徴です。
トモセラピーを採用すると、がん病巣部の切開を行わないため、出血・痛みを伴いません。熱さも伴わないので、患者の精神的な負担は軽減します。毎回治療前にCT撮影をし、がん病巣の位置を正確にとらえ、がんを狙いうちできることから、副作用のより少ない治療を行えます。
トモセラピーは副作用が起きにくい治療法ですが、全く症状がみられないわけではありません。放射線治療の副作用は、だるさ・吐き気・嘔吐・食欲低下・皮膚炎(日焼けのようなもの)・白血球減少といった症状が挙げられます。腹部周辺へ照射すると、下痢や腹痛などがみられるケースもあります。
治療を受けているときは、激しい運動を避けるようにして、疲れやだるさを感じたら無理をせずに、体を休めることが大切です。
放射線治療によって細胞は障害を受けるため、その修復に向けて、普段以上にカロリーや栄養をとること望ましいです。食欲不振や嘔気などの症状がある場合は、少量ずつ数回に分けて食べる・高カロリーの食事をとる・食べやすいものを選ぶなどの工夫をしましょう。
どうしても食べられない場合は、早めに医師や看護師に相談するのが望ましいです。
トモセラピーは、がん病巣へ焦点を当てて照射できるため、正常な組織への負担を軽減できます。今回ご紹介した以外にも、さまざまなメリットが期待できる治療法ですが、すべての方に適している治療ではありません。
直腸がんの治療は、標準治療を基本としており、本人の希望・生活環境・年齢・身体の状態などを総合的に確認したうえで、担当医との話し合いによって決めていきます。
メリット・デメリットをしっかりチェックしたうえで、検査データも踏まえ、主治医としっかりと相談するようにしましょう。トモセラピーによる治療を希望している方は、導入している医療機関を受診し、治療法について医師に相談してください。
がんの方の生活の質を高めるための「緩和ケア」について紹介しているサイトです。主治医に「治療がない」と言われた方でも受けられる可能性がある治療についてもまとめています。